プリマスの灯台

使用製品:
  • カイム・ロイヤラン
所在地:

デヴォン州プリマス、イギリス

設計:

ジョン・スミートン

竣工:

1759年

イングランド南西部にある港湾都市プリマス。かつてイギリス海軍の軍港であったり、ピューリタンたちがメイフラワー号で新天地に向けて旅立ったりと、イギリス史を語る上で欠かせない港に、ひときわ目立つ、赤と白の灯台が建っている。過酷な潮風にも褪せることなく鮮やかな赤と白は、耐候性の高いカイムのロイヤラン白と#9003で塗装されたものだ。

設計者の名前をとって「スミートン・タワー」とも呼ばれるこの灯台は、「土木工学の父」と呼ばれるジョン・スミートン(1724-1792)が、樫の木をモデルにデザインしたとされる。当時の灯台は木造が主流で耐久力の低いものだったのに対して、この灯台はスミートンが古代ローマの遺跡からヒントを得て発明したセメントと、地元で発掘される花崗岩とを組み合わせて建設された画期的なものだった。現在の私たちがよく知っている「灯台」の元祖が、ここで初めて築かれたと言える。

スミートンの灯台はこののち100年以上使用されたが、塔の下の岩が浸食され建物自体が揺れるようになったため、1877年に解体され、現在の場所に記念碑として再建された。今はプリマスの観光名所であり、世界で最も有名な灯台の一つとなっている。

灯台としての役目は終えても、スミートン・タワーは引き続き航行の目印として、遠目にも目立つ赤白で塗り分けられた。海沿いの潮風と厳しい気候をものともせず、長期に渡り退色せず、ふくれ・はがれもないシリケート塗料に保護された二色の塔は、今日もプリマス港を行き交う船を静かに見守っている。

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