たがやすいえ
東京湾と鋸山を同時に臨める、大地の色味と親和性を持たせた建築
軽井沢、日本
2021年
木目調のコンクリート壁を見かけたことはないだろうか。コンクリートを成形する型枠に杉板を用いることで木目が表面に浮き出る、「杉板本実(ほんざね)型枠コンクリート工法」という、「杉板浮造り」、または単に「浮造り」などと呼ばれることもある特殊な方法で施工されたものだ。
自然の杉板を使う事で、唯一無二の繰り返さない柄を実現するこの工法の欠点は希望した色の実現が困難な事。杉板から移る黄色や茶色といった色は場所によって出たり、出なかったり。杉板の出所が変われば、色が大きく変わる事も多く、しかも完成するまで分からないものとされてきた。
また、現場打ちのコンクリートには、ジャンカや気泡といった不完全な箇所の補修が必須。ここを周辺と違和感なく仕上げるのが職人の技と言われている。
この事例の壁は軽井沢に建てられた個人宅を囲むもの。事前に、希望される色味を指定され、全面がコンクレタールで塗られている。
通常、塗料で塗ると塗装の厚みでせっかくの杉板の輪郭が弱まる所、コンクレタールは含浸する薄塗りな為、その繊細な凹凸が潰される事なく活かされている。また、一旦塗りつぶしてからコンクリートの風合いを人工的に造るのではなく、半透明に重ね塗りすることで、自然な仕上がりが低工数で実現されている。
しかも、無機成分で石そのであるコンクレタール塗装は、テカリの一切ない自然同様のマットな質感で、コンクリートと同じ手触りである。